KTMM概要 | Outline

ご挨拶

関東・東北骨髄腫カンファレンス (Kanto-Tohoku Multiple Myeloma Conference; KTMM)は、2012年に『関東・東北エリアにおける多発性骨髄腫の治療並びに地域の医療・福祉向上への貢献』を目的として、順天堂大学、岩手医科大学、群馬大学、東京女子医科大学、日本医科大学の血液内科の医師並びに研究者を中心として構成された研究グループです。

 

本邦では骨髄腫は人口10万人あたり3人の罹患率で、死亡者数は年間4000人前後と報告されています。また、厚生労働省の発表した骨髄腫の推定患者数の推移では、2011年の患者数は1984年の約2倍となっており、高齢化に伴い、今後さらに骨髄腫患者数は増えると推察されています。近年、免疫調節薬 IMids (lenalidomide, pomalidomide)、プロテアソーム阻害剤 (bortezomib)、抗体治療薬 (elotuzumab)等の登場によって予後が大きく改善しました。しかしながら、それら治療を受けた患者さんの半数以上において一定の奏効が得られますが、骨髄腫が治癒することはなく多くの場合は必ず再発します。再発後の治療 (サルベージ療法)として、既存の抗がん剤、分子標的薬の治療は、繰り返す度に奏効持続期間が短くなり、最終的に治療抵抗性となっていきます。今後、新規治療薬 carfilzomib、ixazomib、daratumumabの登場によって治療成績が更に向上すると推察されますが、全ての再発難治骨髄腫において奏効が示されるわけでなく、無効な症例も存在します。

 

我々は個々の骨髄腫患者においてよりよい治療を行う上で、『個々の骨髄腫患者において遺伝子異常の有無、分子レベルにおける骨髄腫細胞の特徴、骨髄腫細胞の表面抗原発現等の病態背景を理解する』ということが重要と考えております。このことから、KTMMは、『基礎と臨床の両面から骨髄腫の病態を深く理解し、骨髄腫治療に還元する』という使命感のもとに、熱く、楽しく共同で研究を行っております。また、KTMMはこれからも骨髄腫患者さんのために日々、努力して参ります。